南アメリカ大陸における反米の旗手、ベネズエラがデフォルトの危機に見舞われている。
ムーディーズは2015年1月にベネズエラ国債の格付けを2段階引き下げ、Caa3とした。
5年物のCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)は4498ベーシスポイント、45パーセントに達した。すなわち、100万円の債券を保証してもらうためには45万円の保険料を支払わなければならない。
その後、事態は急激に悪化している。
ブルームバーグビジネスによると、2015年7月時点で、デリバティブのトレーダーが予測する、ベネズエラが1年以内にデフォルトに陥る確率は、63パーセントである。そのわずか2か月前には33パーセントにすぎなかった。
政府の対外債務は383億ドル、ベネズエラ国営石油公社(ペトロレオス、PDVSA)の債務は362億ドル、それに、政府が石油で返済しなければならない中国からの融資額が206億ドル、併せて951億ドルの対外債務になる。
これは同国GDPのおよそ4分の1に達する額である。
しかも、そのGDPが縮小している。ベネズエラのGDPは2014年に前年比2.8パーセント減少し、IMFの予測では2015年にはさらに7パーセント減少する。
インフレは破滅的である。公式データでは年率64パーセントであるが、民間アナリストは120パーセント程度であり得ると語っている。
通貨も暴落中。公式レートはあてにならず、ブラックマーケットでのレートになるが、dolartoday によると、昨年2014年の末時点で1米ドル=173ボリバルであったが、今年2015年の1月末時点では190ボリバル、2月末は222ボリバル、3月末は253ボリバル、4月末は279ボリバル、5月末は402ボリバル、6月末は484ボリバル、7月末には678ボリバルになっている。2014年7月末が77ボリバルだから、1年間で通貨価値は9分の1近くに下落したことになる。
もちろんこの惨状の原因は2014年6月以降の原油価格の急落にある。
ベネズエラの原油生産量は日量290万バレルであるが、国内消費や、中国への債務返済用、近隣友好国への安価提供分を除くと、外貨収入を得られる分は日量180万バレルである。
今年後半も原油価格の動向は予断を許さないが、1バレル=50ドルとしたとき、2015年にベネズエラが原油輸出から得られる外貨は329億ドルに達しないと予想される。2014年には616億ドル、2013年には732億ドルを得ていたことからすると、致命的な少なさである。
投資信託等を通じて中南米や新興国関連のハイイールドボンド、ジャンクボンドに投資している人は、要注意である。
ベネズエラに投資してきた大手エネルギー関連企業の被る損失も巨大になるだろう。
ベネズエラに戦略的価値を見出している中国は大量の資金をベネズエラに貸付けているが、一部は不良債権化するだろう。
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