第43代アメリカ合衆国大統領ジョージ・W・ブッシュは、若いころ、アル中だった。

祖父プレスコット・ブッシュは上院議員、父ジョージ・H・W・ブッシュは第41代大統領という超エリート一家に生まれ育った出自からは想像しがたいが、劣等生ジョージは深刻なアルコール中毒者だった。

ジョージ&ローラ・ブッシュ ウクライナのユシチェンコと

親の権勢と金力のおかげで、ジョージは若くしていくつかの企業の経営者になり、メジャーリーグのテキサス・レンジャーズの経営にも関わったが、ことごとくうまくいかなかった。

そうした劣等生の人生が、ジョージをして酒に溺れさせてしまったようである。

ジョージには、飲酒運転でゴミ箱をひいてしまったり、ほんの少しばかり大量にビールを飲んだ後でクリスマスリースを盗んでしまったりした過去があるという。

ジョージ&ローラ・ブッシュ

後に大統領としてのジョージ・W・ブッシュがメディアのインタビューで語ったところでは、1986年のある大量に飲んだ日の翌日、いきなり禁酒を決意して、それ以来はいっさい飲んでいないという。その時点でアルコールはスパッとやめた。

しかし、そこまでの道のりは平坦ではなかった。

ブッシュを立ち直らせたのは、良妻賢母のローラ夫人である。ローラ夫人は、ブッシュを自らが通うメソジスト教会に連れて行き、深く改心させ、アル中からの離脱プログラムに参加させた。

アル中で人生が破綻した男がなぜ大統領にまでなれたのか? それこそローラ夫人の内助の功である。アル中の夫に連れ添い、一緒に人生を前に進んでいき、人並み以上の足取りにまで立ち戻らせたのだ。

ジョージ&ローラ・ブッシュ

2004年大統領選挙の対戦相手であるケリーの奥さんのように、単なる司書とあなどってはいけない。ローラは人間として結構な実力のある女性である。ビジネス等の外の世界で活動することだけが人間として評価されるべき基準ではない。

もちろんのことブッシュ本人の努力は絶大だったはずだ。キリスト教の深い倫理と、あとおそらくは、ブッシュ唯一の自慢である日々のウェートトレーニングが、重要な鍵のはずだ。

そうでもしなければ、アル中から立ち直って、人々のトップに躍り出られるはずがない。

ブッシュのことを頭の悪い大統領だという輩は多かったけれど、ブッシュが並の大統領以上の偉大な大統領だったと評価できる人物はわずかだろう。

あなたはアル中から立ち直って、人より上の地位に就くことができるのか? ブッシュだからこそできたのだ。

ジョージ・W・ブッシュとコンドリーザ・ライス